個人ホームページやブログ、掲示板、mixiから、facebookやInstagram、X(旧Twitter)まで――。SNS黎明期から進化を見守ってきた筆者が、実際の事例を交えながら、個人情報漏洩を防ぐ簡単な対策をわかりやすく解説します。
SNSを始めたばかりの方や、投稿内容に不安がある方、ネット犯罪が心配な方に向けた内容で、実践しやすいポイントが満載。この記事を読んで、今日から安心してSNSを楽しみましょう!
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大前提、個人情報は載せてはなりません
このようなものから本名や学校、通勤先、自宅住所はすぐに割り出すことができます。
1.ついつい写真をアップロードしがちなもの
- パスポートや免許証:取得が嬉しくて、ついつい載せがちな身分証の代表格。氏名どころか生年月日、その他管理番号など重要な個人情報が記載されています
- 航空券や新幹線チケットなどの切符:旅行や出張の話題で写真をアップすることが多いですが、氏名が記載されています。また搭乗日や乗車日、路線から行動記録が把握されてしまいます
- 婚姻届、出生届:載せたくなるおめでたい話題のひとつです。氏名のみならず提出先の役所名が記載されているので、生活圏が特定されたくない方は注意が必要です
- 会員証:スポーツクラブや習い事の会員証ですが氏名のみならず店舗から生活圏が特定される恐れがあります
- 自宅の外観・周りの風景や背景:とくに注意すべきはベランダからの写真。背景に映り込む景色・特徴的な建造物(山の形や高層ビル群、鉄塔、派手な看板など)が見えたらGoogleマップで即特定が可能です。もっとも特定しやすい情報のひとつですので、入念にチェックすべきでしょう。映り込んだ自家用車や自転車、門扉などもGoogleマップで確認できます。マンションであればマンション名と階数までわかります
※これらを複合的に組み合わせていけば、本名と自宅の所在地をある程度しぼりこむことができます
※本名はSNSでなくとも、仕事関係で公表されている方も多いでしょう。そこから氏名・勤務先・職歴・学歴、年次から年齢まで判明し紐づけられる場合があります
どうしたら安全に載せられる?
- 氏名や住所にモザイク処理をする
- 日付や店舗名などにモザイク処理をする
- 自宅外観の写真は周りにモザイク処理をする
- スケジュールが特定できるものは時差投稿を心がける
- 個人情報が載っていない別の写真を使用する
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2.ママさん注意、可愛くて載せがちな未成年の子どもの情報
- 名札:そのまま載せてしまっている保護者の多いこと・・・本名、名札の形式から学校の特定にいたります
- 制服・ユニフォーム:言わずもがなですが学校や所属先特定にいたります
- 体操服のゼッケン:運動会の時期に多いです。体操服姿のお子様、日除けテントの学校名なども
- 水筒やランドセル、靴袋:上履きの名前が見切れていることも
- 卒入学(園)式の記念写真、立て看板、証書の文字、プログラム:背景の校舎で学校特定にいたります
- スイミングスクールや体操教室の写真:場合によっては水着姿やレオタード姿などが危険につながる場合があります。掲載する際は熟考を
- 赤ちゃんのおむつ姿・水遊び姿・トイレ姿・入浴姿:赤ちゃんならいいだろう・可愛いだろうと載せている方が多いです。赤ちゃんであろうと裸が映り込む場合には注意してください。誰が見ているかわかりません
※学校名がわかると公立の場合は、学校区である程度の住所が特定できます
※お子様の写真や情報をSNSにアップすること、許可は取っていますか?自分の子どもは良くても、他人の子どもが知らずに映り込んでいるケースが多くあり、トラブルの元になっています
どうしたら安全に載せられる?
- 気になる部分には徹底したモザイク処理を
- SNS投稿前に何度も確認をする
- 家族間で事前に相談する
- 限定公開や鍵アカウントなどで対応する
- 他人の映り込みの確認
- 学校や保護者に掲載の許可を確認する
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3.こんなものもウォッチャーは見ています
- 映画チケットやコンサートチケット:よくあります。氏名記載がなくとも、会場やスケジュール、指定席で個人が特定される恐れがあります。特に大勢の人が訪れる場所ですので、もし隣に座っていた人がたまたま筆者のような個人情報特定に精通している人物だったら・・・たまたま、あなたの投稿を見てしまったら、という可能性も
- 自宅内での写真に映り込んだ書類:よくあるのは壁に貼ってある賞状や冷蔵庫に貼っているプリント類。拡大して見てみるとお子様の名前や学校名・クラス名が確認できたりします。もしこれが仕事の書類で、情報漏洩に繋がったら・・・?
- 反射:スマホ画面、窓ガラス、サングラス、メガネ、鏡、さらには接写した瞳にも何か映り込んでいないか確認したほうが安全でしょう。反射しやすいものは他にもたくさんあります。自動車、ドア、ガラス瓶、グラス、テーブル、水面・・・あらゆるものに情報が映り込む可能性を頭に入れていおいてください
- 裏紙、お子様の落書きやちょっとしたメモ:手紙を写真に撮ってアップロードする場合がありますが、それが何かの裏紙だった場合、裏面の情報が透けて見えているケースがあります。学校の不要になったプリントからは学校の情報が、チラシなどでは店舗名から近隣の情報が紐づけられるケースがあります
- 自宅や車の鍵:新居引き渡し・新車納車で記念写真をアップロードする方が多いですが、防犯上避けるべきでしょう
- 写真だけでなく、文章や投稿タイミングにも注意:当たり前ですが、「いつ、どこで、なにをした」とリアルタイム投稿すると日時からおおよその生活圏、行動パターンが把握できます
※個人情報保護の観点以外にも、SNS上の情報から家を留守にする期間、資産状況を読み取り犯罪につながるケースが発生しています
どうしたら安全に載せられる?
- 気になる部分には徹底したモザイク処理を
- SNS投稿前に何度も確認をする
- 時差投稿を ※とくに旅行時のリアルタイム投稿は防犯面から危険です
- 不用意なハッシュタグは付けない(不特定多数があなたの情報を閲覧する機会を増やしています)
- ブランド品や高級品の掲載は避ける
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4.盲点!?身近なフォロワーにも注意
- SNSに慣れていない(ネットリテラシーの低い)家族・親戚、友人:意外と頭を悩ませている方も多いかもしれません。
- 例として、ある投稿に対して当人が情報を伏せているにも関わらず「〇〇ちゃん(本名)可愛い」だとか「今度XX(個人的な近況)したら、△△(地元の場所)で会おう」とか極めてクローズドな話題を個人メッセージの感覚でコメント投稿している人たちです。当人がどんなにリテラシーが高く、個人情報を保護していても、フォロワーの一言からうっかり漏れているケースが多々見受けられます。また相手に指摘しづらいので放置せざるを得ない場合もあるかもしれません
- 親しいフォロワー:いいねの頻度やコメントの件数・履歴や内容から当人とどういった間柄なのかある程度推測できます。
- そこから親しい様子のフォロワーの情報に飛び、またそのフォロワーを飛び・・・を繰り返すと、あなたを含めた彼らがどんなコミュニティに属しているかを推察できます。ママ友、同級生、会社の同僚などが多いですね。そしてその先が今まで述べたような対策をされていないSNSであったり、ネットリテラシーの低い方だといろいろな情報がダダ漏れだったりします。そうすると連動して自分の個人情報も分かってしまうわけです
どうしたら安全に載せられる?
- 身近な家族にはネットリテラシーを教育する
- あらかじめ信頼のおけるフォロワーを選定し、SNSを始める
- 限定公開や鍵アカウントなどで対応する
- 別アカウントを作成し使い分け、投稿する
- コメント制限(不可)の設定にする
- お互いSNSに載せ合う場合、事前に了解を得る
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5.悩むユーザー名
ユーザー名や個人IDだけでも意外と情報が引っ張れます。本名で堂々との方は別として。”あだ名、好きなキャラクター、食べ物、花など自然物、子どもの名前や愛称”+誕生日の組み合わせパターンや氏名のアルファベット表記を子音だけ繋げたパターンがよく見受けられますが、だいたい誰なのか想像がついてしまいますね。
あえて共用している場合をのぞき、なんとなく他のSNSでも同じユーザー名を使用している方も多いと思います。ウォッチャーからするとまずユーザー名を検索にかけますので、使い分けている別のSNSでのアカウント、裏アカウントや愚痴アカウントがある場合は紐づく可能性が高いので注意してください。
※アイコン写真も注意、上記同様に使いまわしているとユーザー特定の一因に
どうしたら安全に載せられる?
- ユーザー名やIDには本人を連想させるワードは入れない、面倒でもランダム数列やユニークな名称を考えましょう
- 複数のSNSアカウントはそれぞれ違う名称にしておく
- 過去利用していたSNSアカウントが残っていないかチェックしておく。検索をかけると若気の至り的なログが意外と見つかったりしますよ。そのログを調べて、あなたの過去の個人情報を把握されるかもしれません
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SNSでの個人情報の守り方
どこまで個人情報を伏せるのかは、あなた次第!
ここまで様々な対策方法をお伝えしてきました。もしこれらをすべて実践したら?
写真の大部分がモザイクで、はっきりとした文章も書けず、フォロワーも選び、コメントもいいねもされず・・・はっきり言いますと、なんのためにSNSをやっているのかとなります。
そうです。少しでも個人情報を危険に晒したくない方はSNSをやるべきではありません。どんなに対策を徹底してもどこかに漏れは生じます。そんな方は諦めて「閲覧専用アカウント」として運用していきましょう。
SNSは様々な情報や交流を生み出し、承認欲求も満たしてくれるとても楽しく便利なツールです。リスクよりもその楽しみを取られる方は、ご自身の最低限の漏らしたくない情報を取捨選択し、私がお伝えした対策の一部を実践して、紐づけられる個人情報を少なくしましょう。
今後はより安全にSNSを活用していただけたら幸いです。